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モクレイシの分布は、房総半島の南部<館山と白浜>・神奈川県<三浦半島、大磯、二宮、小田原>・大体熱海−沼津以南の伊豆半島の沿海部・伊豆諸島と、ずっと西へとび離れて九州南部と五島列島、南西諸島から台湾<紅頭嶼>の暖帯から亜熱帯の沿海地の林中に自生する。
上述のように分布は神奈川・伊豆を中心とするブロックと、九州を中心とするブロックに分かれて分布している。このようにとび離れて分布することを隔離分布というが、モクレイシの種子は、風や海流によって運ばれることはまず考えられない。この二つの地域は、何か地史的に関係があったのではないかと想像され、植物地理学上興味深い植物である。
例えば、神奈川県・房総の関係でも、本樹の種子が鳥によって運ばれたとしても、丹沢・三浦・房総と古東京湾の南を限って陸続きだった時代に、房総に達したものであろう。
モクレイシの葉は対生し、だ円形で先がとがり、革質、無毛で、きょ歯がなく光沢がある。3月ごろ、前年枝の葉腋に淡緑黄色の小花を多数つけるが、撮影エリアないでは画像のとおり2月には花開する。
雌雄異株で、雄花はオシベが、雌花はメシベが発達した、キブシ、キウイフルーツ、モッコクのような形式の花をつづる。
花後、緑色の小さなラグビーボール状の果実を結び、12月下旬ころから裂開し始め、中から朱色の美しい種子がおおむね一個でてくる。
果実から飛び出した朱色の種は、濃緑の葉と対照的に冬枯れの中でひときわ目立つ。
和名は、果実が割れて種子の見える姿を、ツルレイシの果実に見立てて、それに木質であることから、「モク」を冠して名づけられたという。 |
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